中国に次いで人口大国であるインドですが、13億人を超える人々の経済格差はとても激しく、現在でもおよそ3割近くの人々が1日当たり日本円にして150円程度で生活していると言われています。
しかし、毎月100万人からの若者が労働人口に加わるため、雇用状態が過剰でありながらもGDPが世界6位にランクインするなど、近年高い経済成長率を示していることも事実です。
実際にアメリカの経済研究機関の調査によると、2019年から2035年の間にGDPが最も急成長すると予想されている都市のトップ10は全てインドの都市が占めており、円熟期に入り低迷する先進国とは対照的に「まだまだ経済成長過程に若い国」の代表格と見なされています。
この発展度合いに大きく関わっている理由のひとつに、「IT産業」と「カースト制度の廃止」があることをご存知でしょうか。
国民のおよそ80パーセントが信仰している宗教がヒンドゥー教ですが、かつてこのヒンドゥー教には身分制度であるカースト制度がありました。
バラモンとクシャトリア、ヴァイシャ、シュードラという4つの「ヴァルナ」という階級と、世襲的職業で身分集団である「ジャーティ」という階級によって社会が細分化されており、その身分に合った職業にしか就けないことから、技術革新や競争といった産業発展にはなかなか繋がりませんでした。
このカースト制度は1950年に廃止されているため、既に70年近くが経過していますが、長い間人々の生活に染みついていたカースト意識は簡単に消すことができず、現在でもその影響が残っているため、未だに現地の若者は就きたい職業に就けないというのが現状です。
しかし、世界的なITの発達によりインドにもITの波が押し寄せてきました。
このITというジャンルはカースト制度が廃止された後にできたものであるためカースト制度の影響を受けていないことから、身分が低い人でも努力によっては貧困から抜け出せるチャンスとなり、多くの若者がITの先端技術を習得した結果、世界有数のIT大国になったという経緯があります。
また、アメリカとの12時間の時差もIT産業の発展には欠かせないものでした。
アメリカのIT技術の中心地はシリコンバレーですが、現地で日中開発していたソフトウエアやシステム開発プロジェクトを、アメリカの業務終了後に朝を迎えるインドに送れば引き続き開発を続けることができるため24時間無駄なく開発に費やすことができます。
激しいIT競争の中で24時間にわたり開発できるということは、他の企業に対して大きなアドバンテージとなることに加え、シリコンバレーの最新技術を無償で共有できることもIT産業の成長に大きく影響していると言えるでしょう。
現在では「デジタル・インディア」をスローガンとして、総額で2兆円を投資して更なるデジタル化を推進し、経済成長と多くの若者の雇用創出を目指しています。
また、経済成長に関する特徴として、インフラ開発への関心が高まっていることも大きなポイントです。
日本円でおよそ9兆円近くをインフラ整備に割り振ることとしており、2022年までに8万キロ以上の舗装道路を完成させて生産や流通の効率を高めるとともに、国際的なパートナーシップを拡大して更なる経済成長に繋げるとしています。
このように、インドの発展と経済成長は急カーブを描いているのが現状ですが、改善されれば更に大きな成長要因となるものがあります。
それは「女性」で、インドでは男女格差が残っているため経済活動に女性がほぼ参加できていません。
しかし、最近では女性の就学率なども改善傾向にあるため、この問題が解消されて女性が経済活動に参加できるようになれば、将来的な経済成長と発展を底上げする大きな要因となると考えられています。
最終更新日 2025年8月14日 by ixsrvn
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